暖房器具は何をお使いでしょうか?エアコン?床暖房?オイルヒーター?セラミックファンヒーター?
電気を何らかの方式で熱に変換して使う暖房器具はお手軽で安全なのですが、暖かくなるまで時間がかかりがちなのがネック。
その点、燃料を燃やして火で暖める暖房器具は暖かくなるまでの時間が段違いに早い。それは例えば石油ファンヒーター。そしてガスファンヒーター。
新築一戸建てに引っ越してからガスファンヒーターを導入した私は、その強力な暖房性能をすっかり気に入り、メインの暖房器具として使うようになりました。
もしあなたのおうち、特に家族が集まるリビングにガスコンセントが設置してあったなら、ガスファンヒーターの導入を是非検討して欲しいのです。
新築で最も効率がいい暖房はエアコンだけど
高気密高断熱ならエアコンが一番
今の新築住宅は高気密かつ高断熱であることが当たり前です。いわゆるローコスト住宅であっても。昭和の時代に建てられた住宅と比較したら段違いな性能を有しています。
昭和50年代初期に建てられた私の実家は、冬になると畳の隙間から冷気がスーッと吹き込んでいました。しかし今住んでいる2017年築の家は隙間風など有り得ません。24時間換気によるごく僅かな空気の流れは感じますが、気密性は比べ物にならないです。
また、断熱材のおかげで一旦部屋が暖まればなかなか室温が下がりにくい。実家なんてストーブを消したそばからヒンヤリしてましたからね。
そんな高気密高断熱住宅であることが前提ならば、エアコンが最高のコストパフォーマンスを発揮する暖房なのは言うまでもありません。初期の導入コストを加味しても疑う余地なく。最近の機種は消費電力も驚くほど少ないですしね。
というわけで暖房ならエアコンがベスト!…なんですが、ちょっとお待ち下さい。
素早く暖めるなら「火」を使う暖房器具が圧倒的に強い
エアコンは「長い時間」部屋の空気を暖める、あるいは冷やすという点においては、コストパフォーマンスが最強です。しかし暖かいと感じるまでには結構時間がかかります。
その点、短時間で部屋を暖めるという能力においては石油ファンヒーターやガスファンヒーターなど「燃料を燃やす系」暖房器具に軍配が上がります。もう圧倒的勝利です。
エアコンが長距離走者ならば、石油やガスファンヒーターは短距離走者に例えたい。とにかくスタートダッシュが早い。
生まれてこのかた40年、色々な暖房器具を使って冬を乗り越えてきましたが、石油やガスなどの燃料を燃やして「火」を使う暖房器具の暖かさは、それ以外と一線を画すと感じています。
家の中で暖房が必要はシチュエーションはいろいろあります。その中でも、最も急速な暖房が必要とされる「冬の朝のリビング」に最適なのはガスファンヒーターだと断言します。
それがなぜか語らせてください!
朝の暖房ならガスファンヒーターが最強伝説
ここで暖房を使う具体的なシチュエーションを想定してみます。
そうですね、時期は1年のうちで最も寒い1月から2月の朝としましょう。私の住む大阪北部では氷点下を記録する日も多く早朝は家中が冷え切ってしまう時期です。
朝6時を過ぎると家族のみんなが起き、リビングに集まってきます。そんなときエアコンだとなかなか部屋が暖まりません。エアコンの場合、電源を入れても温風が出てくるのが数分後ですよね。足元はずっと寒いまま。30分ほどしてようやく調子がでてくる感じでしょうか。
時間がかかりますね。
その点ガスファンヒーターなら電源を入れて5秒後にはフルパワーで運転を開始して、温風…いや熱風をガンガン出してきます。ほんと一瞬で立ち上がる。しかも床付近から熱風がでるので足元ぽっかぽか。5分もすれば20畳近いリビングでも部屋全体が暖まってきます。部屋が暖まるまでに必要な時間はエアコンと比較になりません。
石油ファンヒーターも立ち上がりが早いんですが、ガスファンヒーターには劣り、そしてうっかり灯油をきらしてしまうと悲惨です。買いに行こうにも早朝に灯油を売ってるところなんてほとんどない。そもそも忙しい朝にそんな余裕はないわけで。
ゆえに冬の朝はガスファンヒーターが最強というわけです。エアコンとガスファンヒーターの併用もおすすめ。
ガスファンヒーターのメリットとデメリット
とはいえガスファンヒーターにもデメリットがあります。ここでメリットとデメリットを整理してみましょう。
ガスファンヒーターのメリット
数ある暖房器具の中でも素早く部屋を暖める能力は群を抜いています。足元を集中的に温めることもエアコンにはなかなか難しいこと。
あまり普段は意識しないと思いますが、ガスは燃焼時に水蒸気を発生させます。要するに湿気を出すわけです。これによって空気が乾燥しがちな冬でも湿度を保つことができ、同じ室温でもより高い体感温度となり、インフルエンザの予防にもつながります。
2018年の1月はたびたび襲来した寒波で全国各地が記録的な低温になり、室外機の性能限界からエアコンが止まってしまったという話を多く聞きました。しかしガスファンヒーターは屋外の気温に影響されないので全く問題なし。
こうやっていいとこばかり挙げるとまさに最強という感じですが、デメリットもそれ相当にあります。
ガスファンヒーターのデメリット
まずはガスコンセントが部屋にあること、これが必須条件かつ前提条件。追加工事で取り付けることもできるようなので、まずはお使いのガス供給会社にお問い合わせください。
大阪ガスだと最低16,200円から対応できるそうです。
そしてフルパワーで運転するとガス代が掛かりがち。
仮に木造住宅11畳を暖めることができる機種を1時間フルパワーで動かしたとしましょう。すると1時間で50円近いガス代が掛かります。電気代は1円にも満たないんで気にしなくてもいいレベルなんですが。
でも暖房能力が高いのでよっぽど寒い地域でなければ常時フルパワーで運転することは少ないと思います。実際真冬でも室温が安定すればフルパワーで動くのは一時間のうち20分もないぐらい。
それで実際どれぐらいガス代が上がるのかというと、うちの場合はファンヒーターがない11月と12月を比べたら3,000円上がった程度でした。12月のほうが当然ながら寒くてお風呂を沸かすのに使うガスも多くなっているので、ファンヒーターを使うことで上がったガス代はもっと低いはずです。お住まいの地域やライフスタイルによってこの上げ幅は変わるので参考まで。
プロパンの場合はどうしても都市ガスより高くなってしまいますが、ガス会社の変更をすることで今より料金を下げることも可能です。諸事情により賃貸では難しいですが、戸建てなら一度ガス会社の変更を検討することをおすすめします。
そして換気が必須です。
最近の住宅は24時間換気で2時間あれば一部屋分の空気が全て入れ替わる程度の換気が常時行われています。とはいえそれはあくまでシックハウス症候群対策であり暖房のための換気ではありません。やはり換気は必須。
だって「換気しなかったら死ぬ」って注意が本体デカデカと書いてありますし。
ほら。
個人的な話をすると、私は石油ストーブを使う家庭に育ったので換気は冬の生活において当たり前の行動でした。むしろ暖かい部屋に冷たく新鮮な空気を取り込むのは冬の風情を感じる瞬間でわりと好きだったりします。
メリットとして水蒸気がでるから空気が乾燥しないと書きましたが、裏を返せばそれは結露に繋がります。最近の住宅では当たり前になっている複層ガラス、ペアガラスは結露しにくいというふれこみになっていますが、それはガラス部分の話です。サッシ、窓枠はアルミということも多く、その場合は普通に結露します。
実際にガスファンヒーターを使ってみた
さて、そもそもこの記事を書いたのは、新築に引っ越してからガスファンヒーターを使い始め、そしてその強力な暖房性能に感動したからです。
そこで実際の使用感を書いていきたいと思います。
リビングの真ん中にガスコンセントがあったから
家の購入契約時に手渡された資料の中に電気の配線図がありました。これは2階にあるリビングダイニングキッチンの間取りと配線図です。
電気以外にも電話線やアンテナ端子の記載があり、ガスコンセントも。
左側のカウンターキッチン前はダイニングテーブルを置き、右にはテレビとコタツを置いています。真ん中にガスファンヒーターを置いて、食事の時はダイニングテーブルに向け、テレビを見ている時はコタツに向ける。これで暖房はばっちりではないか!
秋に引っ越したばかりでエアコンの設置はまだ先の予定、来年の夏前としていました。まずはガスファンヒーターでこの冬を乗り切ろう。
そうとなったら機種選びだ。
部屋の広さにあわせたガスファンヒーターとは?
先ほどの図面にも記載されていますが、うちのリビングダイニングキッチンは18畳ほどの広さがあります。
ガスファンヒーターは暖める部屋の広さにあわせて30号、35号などの規格があり、この号数が大きくなるほど大きな部屋を暖められる能力が備わっているというわけ。一番大きな50号で「木造15畳まで」という暖房能力の目安があります。
ファンヒーターを置きたい場所は木造18畳なので、一番暖房能力が高いものでもスペック上は足りないですね。
しかしエアコンの性能表示でも使われている畳数の目安、今の木造住宅のスペックにあわせているのかどうかはっきりしません。おそらく一昔前の気密性能、断熱性能にあわせているものと思われます。
と思ってガスファンヒーターの説明書をみたら、やはりそのようでした。
旧来の木造住宅を「一般木造」とし、断熱性能が高い木造住宅を「断熱木造」として区別されています。
説明書を見る限り断熱構造の木造住宅は、マンションなどの鉄筋コンクリート構造(RC)と同じ扱いのようです。木造住宅で使う場合の目安は40%ほど多めに見積もって良さそうですね。
ならばという前提で、私は木造18畳の部屋に35号のガスファンヒーターを置くことにきめました。35号はスペック上「木造11畳ぐらいまで」という性能です。断熱構造の木造なら15畳ぐらいまで。
3畳ほど足りませんが、一日中ガンガン使うわけではなく、基本は食事のときなどスポット的に使うつもりなのでフルスペックは必要ないと判断しました。それに18畳といっても、キッチンや家具などが3畳分程度の空間を占めているので、15畳というのは実は適切なのかもしれません。
市販のガスファンヒーターとして一番性能が高い50号と35号を比較すると価格差がかなり大きく、50号は安くて4万円前後、35号はグッと下がって2万円前後。性能が高い分ガスの消費も必然的に大きくなるはずでランニングコストがかさむかもしれない。その点も考慮した「せこい選択」でした。
結果的にこの判断は正解。以下の条件であれば、部屋の面積に対してカタログ上の畳数表示が小さいものを選んでも問題なく使えると思います。
スポット的な使い方だけではなく、ちゃんと部屋全体を暖めることもできる十分な性能がありました。補助的な暖房というわけではなく、1台で部屋全体を暖めるのに十分な能力があります。
選んだのはリンナイのガスファンヒーター
いろいろ調べていると35号、つまり木造11畳まで対応したガスファンヒーターは2万円前後の価格。製造している国内メーカーはリンナイとノーリツの2社だけのようです。どちらもガス給湯器でお馴染みのメーカーですよね。
大阪ガス、西部ガスなどの名前で売られている機種もありますが、それもリンナイかノーリツのOEMみたい。
なので「35号で都市ガスのガスファンヒーター」となるとそれほど選択肢も無く、検討する機種は数点から。エアコンを選ぶよりずっとラクです。
その中で一番安く売られているリンナイの「SRC-364E-13A」という機種を購入しました。
本体色のパステルローズってどやねん?と思いつつ一番安いからという理由で選んだんですが、非常に淡い紫というかピンクというか、部屋に置いても悪目立ちする色ではありませんでした。
これが実際の製品。ほとんど白にみえると思います。
ガスココードは別売りなので忘れないように
どのガスファンヒーターでもガスコードは同梱されていないようで、別途購入する必要があります。使う場所と移動範囲にあわせて選びましょう。
私の場合は部屋の真ん中からほとんど動かすことは無いので、一番短い1メートルのコードを買いました。
実家ではゴム管のガスホースをコンロのガス供給口にはめてクリップで固定しガスファンヒーターを使ってましたが、ガスコンセントと専用ホースがあればワンタッチで安全に接続できます。カチッと差し込むだけ。お手軽。
今どきのガス器具は怖くないぞ
今までガスファンヒーター使ったことがない人には「何か知らんけどガスは怖い」って固定観念があるかもしれません。ガス漏れ、ガス爆発、中毒。そんな言葉がよぎるかもしれません。
でもいまどきのガス機器はしっかりと安全対策が講じられており、よっぽど適当な扱いをしない限りは安全です。
一例を挙げてみましょう。
ガスコンセントにガスホースを挿したままで本体側、つまりガスファンヒーター側のガスホースを抜くとガスがシューッと漏れ出てくるようなイメージがありませんか?
そんなわけで実際に試してみました。
えいっ。
ホースではなくガス栓の内部構造で安全対策がとられているようで、この状態でもガスは出てきません。ガス供給会社の説明では「ヒューズ機能」と呼ばれていました。
出典:京葉ガス
通常とは違う多量のガスが出ると、ボールが栓を塞ぐ構造になっているようです。古いタイプのガス栓だと違うようなので、気になったら地域のガス会社に確認してもらって取り替えたほうがいいでしょう。
ホース自体もかなりしっかり作られており安心感は高いです。外食して鍋料理なんかを頼むと、床のガス供給口にゴム製のガス管を差してコンロと接続するじゃないですか。あれとは全然比較にならない堅牢な造りになっています。
一酸化炭素中毒に関しても、不完全燃焼防止装置が標準的についているので過度に心配する必要はありません。
機能はごくシンプル
使い方はかんたん。
運転スイッチを押すと5秒後には暖かい、いや熱い風がガンガンでてきます。例えば設定温度を20度に設定すれば室温が20度になるまでフルパワーで運転して、そこに達すれば一気にパワーダウンし、やがて一旦停止する感じ。
その他細かいタイマー機能などもありますがここでは割愛しますね。
ほんとに暖房として機能は単純明快シンプルです。機種ごとによる省エネ性能なんてのもほとんど差がありません。こんなんでいいんだよ!マイナスイオンとか出さなくていいから!
ガスファンヒーターを使っていて気付いたこと
その他実際に使ってみて気付いたこと分かったことをつらつら書きます。
ガスくさい匂いはしない
まず匂いですが、いわゆる「玉ねぎが腐ったようなガス臭さ」というのは運転中全くしません。
電源を切ってガスホースの取り外しをするときぐらいです。分かる人には分かる「ガスの暖房を使ってるな」という湿った感じの匂いはしますが、不快なものではありません。
運転音は気にならない
音は静かで気になりません。部品が膨張縮小したときに鳴る「コツン」みたいな金属音や、再点火のときに鳴る「チチチチチチ」という音に最初はビビるかもしれませんが、それ自体異常ではないですし、じきに慣れます。
ガス代はそれほど気にしなくていい
先ほども書きましたが、気になるガス代については多少あがった程度。たぶん+2,000円ぐらいでした。
設定温度に達すれば自動的に停止しますので、ある程度室温が安定するとほとんど停止状態でたまに再点火する感じです。地域やその日の寒さ、家の断熱性能によりますが、一時間のうち半分も運転してないことが多いですね。
記録的な寒さだった2017~18年の冬でこの程度なので、意外と省エネです。
とはいえ子どもには触らせないようにしている
ちなみに子供だけで勝手に触らないようにはさせてます。ガス漏れというのはあまり気にしなくてもいいかもしれませんが、高温になるのでやけどや火事の不安がどうしてもあります。
【まとめ】こんな場合はぜひガスファンヒーターの検討を!
最後にもう一度まとめます。暖房器具としてガスファンヒーターをおすすめしたいのはこんな場合。
こんな条件や要望にあてはまるなら、ガスファンヒーターを導入して後悔することはありません。私が保証します。
他の暖房器具にくらべて設置条件が限られるので、あまりシェアがなくマイナーな存在かもしれません。でも使った人の満足度が高いのがガスファンヒーター。
もし引越し先のリビングにガスコンセントが設置されていたなら検討してみてください。きっとあなたも満足するはず。
シェアが低いせいか年間の製造台数に限りがあるようで、本格的に寒くなる時期には既に売り切れになっている場合があります。本格的な冬が訪れる前に、なるべく早くご購入ください。
15畳前後のリビングで高気密高断熱の家ならこの2機種がコストパーフォーマンスが高くおすすめです。木造11畳までというスペックですが最近の家の構造で寒冷地でなければ十分に暖まります。
ガスファンヒーターに関してはAmazonより楽天のほうが取り扱い数が豊富ですし、かなりお得な価格になっている場合もあります。
ただし先ほども書いたように本格的な寒さになる前に売り切れる場合がありますので、早めのご検討をおすすめします。また、ネット以外だと地域のガス会社がショッピングセンターの催事スペースなんかで売ってる場合があります。ほかのサービスと合わせるとかなり安く買える、あるいはタダでもらえることすらあるので、見かけたら覗いてみるのもいいですね。
また、購入の際は必ずお使いのガスの種類をお確かめください。都市ガス用とプロパンガス用だとたいがいプロパン用のほうが安いのでうっかり選んでしまう可能性があります。