新築の家に引っ越してからしばらく経って、ふとフローリングが気になるタイミングがありました。あれ?なんか見た目に違和感がある。
よくよく見るとその違和感の正体が分かりました。全く同じ木目の板が並んでる。節も年輪も位置が全く同じ板がある。同じ木を薄くスライスして並べたってこんなことがあるはずない。
引き渡しのときにもらった資料を開くと、そこにはフローリングの説明として「DAIKENのサンロードアート」と記載されていました。その名前で検索するとどうやらうちのフローリングは木じゃないらしい。MDFの上に木目を印刷した樹脂を貼ったものらしい。まあローコスト住宅だしグレードの低いもんなんだろうな。にしてはよくできると感心。
しかし検索結果に出てきたページを見ると、やたらとサンロードアートを酷評して不安を煽る内容ばかり。水に弱いから水拭きできないとか使い捨てだとかコーティング必須だとか。ほんまかいな?
気になりつつも特に気を使わず日常生活を送り、普通に洗剤をかけたりウェットシートで掃除を続けて1年以上が経ちました。「水は厳禁」みたいに言われているサンロードアート、果たして我が家の床はどうなったのでしょうか?
適当に水拭き掃除を続けても問題なかった
「木じゃない」ことは言われないと気づかない
うちのフローリングが木ではないことに気づいたのは、入居から一年ぐらいたったころです。それまでずっと木だと思い込んでいました。
でも木にしてはやたら表面がなめらかだし、ささくれや変形が一切ない。最近の加工技術は凄いですな~なんて思いながら過ごしていました。しかしある日、私は気づいてしまった。
寸分たがわぬ木目が隣同士で並んでいるではないか。
天然の木なら天文学的確率じゃないとこうならないだろう。さてはオメー偽物だな。
家の建材なんかが書かれた資料を確認すると、うちのフローリングは全て「DAIKEN」の「サンロードアート」という床材らしい。今の戸建分譲住宅として主流な、飯田産業を筆頭とするパワービルダー系のローコスト住宅ででよく使われる床材だとか。そしてこれは木ではなく、MDF素材のうえに木目を印刷した樹脂を貼り付けた構造で、シートフローリングというものらしい。なんてこった。
「くそー騙された!」と言うよりかは「一杯食わされましたな!ワッハッハ!」という、どちらかといえば感心に値するものでした。ほんと良く出来てる。
普通に水や洗剤で掃除してた
どうやらこの床材は水に弱いらしいということを知ったのも、一年たって床材の名前を知ってから。基本は固く絞った雑巾やから拭きが推奨されるようです。
そんなことはつゆ知らず、なんらかの素晴らしい技術でコーティングされた木のフローリングだろうという思い込みでガンガン水拭きしてました。ウェットシートも使ってたし、汚れが目立てば躊躇なく洗剤をぶっかけてました。
こんなふうにブシュブシュと。
だって水拭きがダメだなんて知らんかったし!
しかし特に不具合は生じていない
そんなんこんなでサンロードアートではNGとされている水拭きを1年以上続けてきました。
その結果どうなったかと言いますと、特に何も起きていません。
変わらず床材としての機能を全うしてくれています。見た目に何の変化もなし。水拭きといってもビシャビシャにするわけではないですし、洗剤をかけたとしてもすぐ拭き取っていたので、それが良かったのかもしれません。
しかし一箇所だけかなり高い頻度でビシャビシャにしている箇所がありました。
それは洗濯機のお湯取りホースを立て掛けていた箇所。お風呂から汲み取り口を取り出してなるべくお湯は抜くのですが、どうしてもポタポタと床に水が落ちてしまいます。おまけに腕がギリギリ通るぐらいの隙間なので、頻繁に掃除もできません。それゆえホコリもたまり、湿気を帯びたホコリの塊が常にある状態。こりゃ何らかの不具合でるよな~
いつか掃除しようと思いつつも一年と少しが経ち、いよいよ年末の大掃除で掃除機を動かしてご対面となりました。やっぱり黒いホコリまみれで汚い。カビや床面の歪みとかを想像しつつホコリを取り除いて現れた床面は…
特に何も変化はなく、ホコリさえ取り除けば何ら問題のない状態でした。あれ?
10年後という長いスパンで見れば何らかの変化はでてくるのかもしれませんが、水分に対してそれほど神経質にならなくても良さそうです。水をこぼしたら即アウトみたなイメージを持っているひともいるかもしれませんが、そこまでデリケートじゃないみたい。
この経験を元に「サンロードアートは水拭きしても大丈夫」とは言い切れないのですが、私自身は問題ないと判断しました。結果として今でも水拭きはしています。汚れはちゃんと落としたいですしね。各自ご判断のうえで水拭きをしてください。
ただし水分は放置せず速やかに拭き取るよう注意し、なるべく床材の継ぎ目には水分がいかないように配慮しています。
コーティング業者のネガキャンがひどい
MDFは水に弱いのは確か
しかしなぜこれほどまでにサンロードアートが酷評されているのか?それは「MDFが水を含むと変形しやすいから」という理由からくるようです。
MDFが水に弱いのは事実です。私も実体験として理解しています。
たぶんむかし無印で買ったと思うんですが、組み立て式の収納棚がMDF素材でした。MDFの上に天然木が貼ってあるやつじゃなくてMDF素材むき出しのやつ。
この棚の天板に飲み物が入ったコップを置いてしまうと、こぼれた水や結露がしたたり落ち、コップの底の形をした円形の水ぶくれみたいなのが出来てしまうんですよね。おまけに乾いても水ぶくれが消えない。ホームセンターで売ってるような安いカラーボックスとかにもよく使われるので、MDFという名称は知らずともそんな経験あるんじゃないでしょうか?
とはいえサンロードアートは当然ながらMDFがむき出しになっているわけではありません。樹脂の板でカバーされてます。継ぎ目や破損箇所から水が入っちゃうと確かに不具合がでる可能性が高いですが、床材のタイル一枚の上に多少水をこぼしたぐらいで問題があるわけない。
検索結果上位のほとんどはコーティング業者のサイト
もういちどGoogleで「サンロードアート」と検索してみましょう。
そして検索結果上位に出てきたサイトの運営者を見てみると…。それらはほぼコーティング業者です。サンロードアートというキーワードと紐付けられた広告も出している。これはコーティングの受注に繋がるキーワードという証。
なにやらお金のにおいがしてきたぞ。
MDFは段ボールが原料?
さきほど書いたように、「サンロードアート」で検索すると、コーティング業者の広告や記事がずらっと上位に並びます。
これらの業者が行うMDFの説明として「段ボールを固めたもの」という表現が散見されます。この字面だけ見るとなんとなく「廃棄されたダンボールを再生した素材」みたいな安っぽいイメージを持ってしまいますが、基本的にMDFはダンボールが原料ではなく木材のチップが原料。
確かにどちらも「植物の繊維が原料」に違いないですが、それにしたって段ボールを固めたものっていう表現は悪意があるんじゃないですかね。
事実誤認させる内容すらある
具体的な例を出して槍玉に挙げるのは気が進みませんが、ここのサイトに掲載されている写真もひどい。
見る限り一級建築士の方が書かれた記事のようです。
記事の中盤に「シートフローリングは水分を吸い込むと、このように膨れて変形するようです。」とキャプションがつけられているシワシワのフローリングらしき写真がありますね。
あたかもこれがサンロードアートに水をかけてしまった失敗例のように見えてしまいますが、これはサンロードアートではないしフローリングでもありません。実際は「畳まれた状態のフローリング調ホットカーペットを広げた直後」の写真です。
引用元はこのサイト。
シワの位置、木目。見比べたら全く同じ画像であることが分かります。
なにがどうなってあの画像が引用されたのか知りませんし単なる勘違いなのかもしれませんが、プロとしては恥ずかしいし意図的なら悪質な印象操作です。
そりゃ安物のフローリングというのは事実でしょうけど、それにしたってねえ。誇張した表現で消費者の不安を煽り、それを金儲けにつなげる手法は大嫌いです。
【まとめ】神経質にならずに付き合いましょう
自分の家の床材がなにか調べた結果、水に弱いことが分かりました。それぞれの使用状況や施工の精度によるのかもしれませんが、うちの場合は水拭きを続けていて不具合は出ていません。
ちょっとでも水をこぼしたらたちまち不具合に繋がるかのような書かれ方をしている場合がありますが、そこまでデリケートではありません。神経質にならなくてもいい。キッチンや洗面所なんて水を一滴もこぼさずに生活するなんて不可能だし、その程度で不具合がでるならもっと問題になっているでしょう。
汚れが目立てば水や洗剤で拭いてから速やかに拭き取り、なるべく早く乾かせばさしあたり問題ないと思います。
10年経って劣化が目立つようなら次の手段を考えればいいかなと思っています。どんな素材を使っていようが経年変化は避けられないわけで。