今や家庭内に無線LANがあるのは当たり前の時代。
我が家も以前住んでいた賃貸に導入してから10年近く無線LANを使い続けています。その間どんどんWi-Fi対応器機が増え続け、今改めて数えてみたらその数は10台を超えていました!家庭内の設備としてはもう無くてはならないものになりましたね。
以前住んでいた賃貸はこじんまりとした3DKのRC造マンションでした。端っこの部屋に置いたWi-Fiルーター1台で、全ての部屋へ快適に電波が届いていました。
一方、引っ越し先は3階建て4LDKの木造一戸建て。以前の賃貸では平面のみでしたが、今度は上下への電波も考慮する必要があります。
引っ越し直後は何かと入り用。節約するため、なるべく今使っているWi-Fiルーター1台で家中の通信をまかないたいところですが、3階建ての家で問題なく使えるのか検討がつきません。おまけにかなり古いルーターで、Wi-Fiの規格も今にしてみれば古いものしか対応していない。なんとなく無理っぽい予感がしました。
でも物は試し、ダメだったら買い換えるか中継機を買い足すつもりで移行をしたところ、意外な結果が。新しい規格に対応していなかったことがその理由を知るきっかけに。
3階建ての我が家は1台で全部屋快適に通信ができた
3階建てで使えるという情報が見当たらないけど
3階建てに引っ越すにあたって、いろいろなWi-Fiルーターのレビューを読み漁りました。しかし、最新モデルであっても「3階では繋がらなかった」とか「古いルーターより速度が落ちた」とかいうネガティブなレビューが散見されます。
3階建て対応みたいな特徴をかかげているルーターでも、レビューを見たら「繋がらない」とか「不安定」という文字が散見される。
なぜ?
そもそも3階建ての家で、中継機に無しにルーター1台で運用しているという情報がほとんど見当たらない。ますます無理っぽいぞ。
2階に設置したWi-Fiルーターで1階も3階もOKだった!
とりあえず古いルーターを使う前提で、買い替えをせずに引っ越しの日を迎えました。
引っ越し2日後、ケーブルテレビによるテレビとネット環境が整いました。テレビのアンテナ端子がある位置の都合上、ルーターは2階リビングの端っこに設置。
設置イメージはこんな感じ。
古いルーターなんで、Wi-Fiの規格も11gという古い規格までしか対応しておらず、電波はいわゆる2.4GHz帯です。最近のルーターや通信機器は5GHz帯に対応しているのが当たり前。
とりあえずダメもとでルーターを立ち上げて、まずは自分のiPhoneを接続。それを手元にYouTubeのHD動画を流しつつ家中をウロウロして調査開始。
2階はどこにいても繋がる。そりゃそうだ。20坪の狭い土地に建った我が家、ワンフロアの床面積は20畳程度。以前の賃貸よりずっと条件はいい。
ルーター真横での通信速度はこの数値。さしあたりアップロードは気にせずダウンロードの数値をご覧ください。
J:COMの「120Mコース」に入ってるんですが、ルーターが古いせいもあってかダウンロードのフル通信速度がこんなもんです。たぶん実際はもうちょっと速度が出てるけど、何かがボトルネックになってるのでしょう。でもこれだけの速度があればHD動画の再生も余裕なので特に困ってませんし納得もしてます。
それはさておき。
ではいよいよ3階に移動します。階段を上がっている間は問題なし。そのままルーターから一番離れた部屋に行っても動画が途切れない。おっ?
3階の通信速度はこれ。
若干落ちましたが、HD動画が問題なく観れる速度です。
こんどは階段を降りて1階へ。
3階建て木造住宅の1階は、強度の確保のためか壁や柱が多くて3階より障害物が多め。電波が到達する条件は3階より厳しくなるはずです。
今度もルーターから一番離れた部屋へ。あれ?全然問題ないぞ。
3階より状況はいい。
念のため風呂場でもチェック。風呂場の壁は磁石がくっ付くからたぶんスチール製で、さらに電波条件は厳しくなるが…え?普通に観れてるよ!ヒカキン元気に喋ってるよ!
中継機なしのルーター1台のみで、3階建て木造住宅の1階から3階まで全部屋において快適に、そして安定した通信が出来ることを確認しました。新しいルーターを買わずに済んだ!ラッキー!
使用ルーターは10年モノの古いやつ
さっきから古いルーターと繰り返し書いてますが、本当に古いです。具体的にはこのモデル。
なんと2007年モデルで、買ったのは2008年。商品名にある通りハイパワーが売りの機種だったので当時は安物ではなかったはずです。そろそろコンデンサーとかやばいのではと思いつつ、10年近く経った今でも元気に動いております。偉いぞ。
この10年間でどんどんWi-Fiが普及し、新しい規格や技術もどんどん導入されていきました。当然ながら性能も上がっています。しかし私のルーターは古いまま。さっきも書いたように、Wi-Fiの規格は11gという規格までしか対応しておらず、仕方なしにそれを使っています。最新の規格に比べたら通信速度がずっと低い。
しかしその古い規格だったからこそ、特別な設定なしに3階建てで快適に使えることが判明しました。
3階建てなら障害物に強い2.4GHz帯を試してみよう
5GHz帯と2.4GHz帯
Wi-Fiの規格には、大別して5GHz帯と2.4GHz帯の規格があります。2018年現在、一般的に使われている規格は以下の通り。
5GHz帯の11acと11a、2.4GHz帯の11gと11b、どっちもいける11nがあります。5GHzの11acが最新の規格ですね。条件さえ合えば一番早い。今現行で売ってるWi-Fiルーターはこれら全て使えるのが基本です。
私はこの規格についてあまり知識が無くて、5GHz帯のほうが新しくて速い規格という漠然としたイメージだけがありました。そりゃ新しいほうがどんな面でも優れてるだろう、うちのルーターは古いから2.4GHz帯にしか対応しておらず、あらゆる面で劣ってるだろうと。
2.4GHz帯の規格は障害物に強い特性がある
5GHz帯が登場したとき、電波干渉に強い、通信速度が早いというのが売り文句でした。
たしかに2.4Ghz帯は電波干渉にめっぽう弱い。周囲に同じ2.4Ghz帯の無線LANがあれば影響を受けるし、電子レンジを使うと壊滅的。うちの環境でもレンジを使うと確実に通信が途切れます。SF映画でよくある電磁パルス攻撃かっていうぐらい。
Bluetoothの周波数とも干渉してしまうので、ワイヤレスのヘッドホンを使うと通信が不安定になることも。
しかし、2.4GHzの強みが一つあります。それは障害物に強いこと。5GHzだと壁などの障害物があればどんどん電波が減衰していくところ、2.4GHzなら元気一杯に通過していきます。
うちの場合、ルーターが2.4GHz帯にしか対応しておらず、仕方なしにそれを選ばざるを得なかったわけですが、結果的にそれが功を奏しました。床も壁も越えて電波を届ける2.4GHz帯のおかげです。
【まとめ】通信状況が悪いならいろいろ試そう
ルータ一台で繋がると書きましたが、実際のところ、1台のみで3階建ての無線LAN環境が構築できるかどうかというと「やってみないと分からない」のがほんとうのところだと思います。
たまたま我が家の環境が2.4GHz帯に合っていたという可能性も大いにあります。ご近所は高齢の方ばかりなので電波干渉の原因となる無線LANの普及状況が低いことや、たまたま家の造りがそれに合っていたりなど。断熱材や床の構造なんかも影響してきそうです。
ちなみにアンテナの方向によっても通信に影響がでました。通常、垂直に立っているアンテナは水平方向に電波を出す指向性があるようです。うちは床面積が広くないため、水平方向より1階・3階への垂直方向に電波を向けたかったので、アンテナを真横に倒してました。これも好影響を与えているようです。
またルーターの設置場所も影響があるとか。金属のラックなんかに置くと悪影響がでるようです。
戸建てのお家で無線LANの接続状況が悪いのなら、設定や置き場所を変えるなどして、いろいろな手段を試してみるべきだと思います。ダメだったら中継機を置くなどの投資が必要ですね。
最近ではメッシュWiFiも一般化してきているので、設置場所の確保とコストに問題がないのなら、こういったものを選択するのがベストだとは思います。